大河原 邦男(おおかわら くにお、1947年12月26日 - )はアニメーション作品における日本最初の専門メカニックデザイナー。『機動戦士ガンダム』に登場するモビルスーツのデザインで知られる。東京都稲城市出身[1]。息子はアニメーターの大河原烈。
苗字はよく「おおがわら」と発音や表記をされることがあるが、自筆イラストに入れられるサインは「K.Okawara」である。
略歴[]
東京都立町田高等学校卒業後、東京造形大学グラフィックデザイン科に入学。1年後にテキスタイルデザイン科に転科し、機織や染め物などを学ぶ。卒業後、オンワード樫山でテキスタイルデザイナーを経験後、転職しておとぎの国に企画担当として入社。東京支店の企画部廃止で専門店向け営業職を経験。
その後、タツノコプロに入社。当初はアルバイト同然の低待遇だったが、配属された美術部で背景を描いていたところ、美術部長の中村光毅の提案で『科学忍者隊ガッチャマン』からは敵メカなどを担当し、高い評価を得る。以後、メカデザイン専門になる。
デザイン時には木型で玩具を試作し、造形や変形・合体の各種機構の立体での検証を自ら行った[2]。
『破裏拳ポリマー』『宇宙の騎士テッカマン』を担当した後、タツノコプロを退社し、中村光毅と「デザインオフィス・メカマン」を設立。『ゴワッパー5ゴーダム』で初のメインメカのデザインを担当。『タイムボカンシリーズ』、『ブロッカー軍団IVマシーンブラスター』、『合身戦隊メカンダーロボ』を経て、1978年にデザインオフィス・メカマンを退社してフリーに。
以降、『無敵鋼人ダイターン3』からサンライズ作品を手掛けるようになり、『機動戦士ガンダム』でモビルスーツのデザインを担当、作品の人気とメカニックのプラモデルの大ブームによりその名を広め、「メカニックデザイナー」という職種を認知させた。また版権イラストを手掛ける際にモビルスーツの機体に実在の兵器同様のマーキングやウェザリングを入れる手法を編み出し、いわゆる「リアルタイプ」として人気を博した。ガンダム以降もサンライズ制作の『勇者シリーズ』をはじめとするロボットアニメのメカデザインを手掛けた。
1981年にはNHKの子供向け情報番組『600こちら情報部』のアニメメカデザイン特集に出演。「ガンダムの初期案には口があった」との裏話や、他局で放送開始前の『ダグラム』のデザイン解説などを行った。
2009年、八王子市夢美術館において回顧展「大河原邦男のメカデザイン ガンダム、ボトムズ、ダグラム」が開催された。
作品年譜[]
- 1972年 - 1973年 - 科学忍者隊ガッチャマン:大河原の名前をもじったオガワラー博士なるメカ開発者が登場する回がある。
- 1974年 - 破裏拳ポリマー
- 1975年 - 宇宙の騎士テッカマン
- 1976年 - ゴワッパー5 ゴーダム、タイムボカン、ブロッカー軍団IVマシーンブラスター(七戸洋之助名義)
- 1977年 - ヤッターマン、 合身戦隊メカンダーロボ、超電磁マシーン ボルテスV、超合体魔術ロボ ギンガイザー、とびだせ!マシーン飛竜、激走!ルーベンカイザー、無敵超人ザンボット3
- 1978年 - 無敵鋼人ダイターン3、宇宙魔神ダイケンゴー、科学忍者隊ガッチャマンII
- 1979年 - 機動戦士ガンダム、ゼンダマン、ザ☆ウルトラマン、科学忍者隊ガッチャマンF
- 1980年 - 無敵ロボ トライダーG7、タイムパトロール隊オタスケマン、とんでも戦士ムテキング
- 1981年 - 太陽の牙ダグラム、ヤットデタマン、最強ロボ ダイオージャ、ドラえもん のび太の宇宙開拓史、海底大戦争 愛の20000マイル
- 1982年 - 戦闘メカ ザブングル、逆転イッパツマン
- 1983年 - 装甲騎兵ボトムズ、銀河漂流バイファム、未来警察ウラシマン、イタダキマン
- 1984年 - 機甲界ガリアン、超力ロボ ガラット
- 1985年 - 蒼き流星SPTレイズナー、機動戦士Ζガンダム
- 1986年 - 機動戦士ガンダムΖΖ(デザイン協力)
- 1987年 - 機甲戦記ドラグナー
- 1988年 - 機甲猟兵メロウリンク、アサルト(メカデザイン)
- 1989年 - 魔動王グランゾート、機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争(モビルスーツ原案)
- 1990年 - 勇者エクスカイザー、からくり剣豪伝ムサシロード、サイバーナイト
- 1991年 - 太陽の勇者ファイバード、機動戦士ガンダムF91、機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY(モビルスーツ原案)
- 1992年 - 伝説の勇者ダ・ガーン、ヒーロー戦記 プロジェクト オリュンポス、アースライト
- 1993年 - 勇者特急マイトガイン、機動戦士Vガンダム、疾風!アイアンリーガー、タイムボカン王道復古
- 1994年 - 勇者警察ジェイデッカー、機動武闘伝Gガンダム、装甲騎兵ボトムズ 赫奕たる異端、サイバーナイトII 地球帝国の野望
- 1995年 - 黄金勇者ゴルドラン、新機動戦記ガンダムW、第4次スーパーロボット大戦、ヴェルヌワールド
- 1996年 - 機動戦士ガンダム 第08MS小隊、勇者指令ダグオン、機動新世紀ガンダムX、アースライト ルナ・ストライク
- 1997年 - 新機動戦記ガンダムW Endless Waltz、勇者王ガオガイガー
- 1998年 - 銀河漂流バイファム13
- 1999年 - ∀ガンダム、ベターマン、サンライズ英雄譚
- 2000年 - 勇者王ガオガイガーFINAL、タイムボカン2000 怪盗きらめきマン
- 2001年 - 機甲兵団 J-PHOENIX
- 2002年 - 超重神グラヴィオン、機動戦士ガンダムSEED、機甲武装Gブレイカー
- 2004年 - 機動戦士ガンダムSEED DESTINY、スーパーロボット大戦GC、機動戦士ガンダム MS IGLOO
- 2005年 - 機動戦士Ζガンダム 星を継ぐ者、機動戦士ΖガンダムII 恋人たち、銀魂(ジャンプフェスタ・アニメツアー'05上映版)
- 2006年 - 機動戦士ΖガンダムIII 星の鼓動は愛、機動戦士ガンダムSEED C.E.73 STARGAZER、SDガンダム スカッドハンマーズ、スーパーロボット大戦OG -ディバイン・ウォーズ-
- 2007年 - 機神大戦ギガンティック・フォーミュラ、装甲騎兵ボトムズ ペールゼン・ファイルズ、機動戦士ガンダム00
- 2008年 - ヤッターマン(第2作)、ヤッターマン×トウシバ(東芝のWeb上でのコラボレーション企画)、機動戦士ガンダム00 -2nd Season-
- 2009年 - 劇場版 ヤッターマン 新ヤッターメカ大集合! オモチャの国で大決戦だコロン!
- 2010年 - Imaging Mass Spectrometry スプリンガー社 表紙、スーパーロボット大戦OG -ジ・インスペクター-、劇場版 機動戦士ガンダム00 -A wakening of the Trailblazer-、模型戦士ガンプラビルダーズ ビギニングG、装甲騎兵ボトムズ 幻影篇
著書[]
- 太陽の牙ダグラムメカニカルア-ト集 大河原邦男の世界 講談社 1983.8
- 大河原邦男アイアンワークス バンダイ, 1989.11
- 大河原邦男画集 ムービック, 1998.9
- 大河原邦男画集2 ムービック, 1998.12
- 大河原邦男Gundam design works ムービック, 1999.11
- 大河原邦男Dougram & Votoms design works ムービック, 2000.4
- 大河原邦男real robot design works ムービック, 2000.5
- 大河原邦男brave series design works ムービック, 2000.8
- 機動戦士ガンダム原典継承 ― 大河原邦男画集 角川書店 2009.3
関連項目[]
脚注[]
外部リンク[]
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