サンライズ Wiki
Advertisement
機動戦士ガンダム 逆襲のシャア
監督 富野由悠季
脚本 富野由悠季
製作 伊藤昌典
出演者 古谷徹
池田秀一
鈴置洋孝
音楽 三枝成章
主題歌 BEYOND THE TIME 〜メビウスの宇宙を越えて〜:TM NETWORK
編集 布施由美子
配給 松竹
公開 1988年3月12日
上映時間 120分
製作国 日本
興行収入 11億6千万円
allcinema
  

機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』(きどうせんしガンダム ぎゃくしゅうのシャア、MOBILE SUIT GUNDAM Char's Counterattack)は、1988年3月に松竹系で劇場公開されたガンダムシリーズアニメ映画宇宙世紀(UC)の2人の主人公、アムロ・レイシャア・アズナブルの最後の対決を描いている。英題の頭文字を取り「CCA」、また「逆シャア」などと略されることもある。

ガンダムシリーズのアニメ映画としては初めてテレビアニメの再編集ではない完全新作として制作され(一年戦争の回想シーンまでもが新作である)、主題歌にTM NETWORKを起用した事も話題となった。なお、サンライズアニメーション作品企画部が用いる共同ペンネーム「矢立肇」のクレジットは使用されていない。監督は富野由悠季。配給収入6億2千万円、観客動員数103万人。DVDは30万枚出荷[1]

テンプレート:ネタバレ

物語[]

宇宙世紀0093年。先のグリプス戦役以降消息不明だった、元ジオン公国エース・パイロットで、ジオン共和国創始者ジオン・ズム・ダイクンの息子であるシャア・アズナブル(キャスバル・レム・ダイクン)は、幾多の戦いを経ても旧態依然として地球から宇宙移民を統制し続ける地球連邦政府に対し、ネオ・ジオンを率いて反乱の狼煙を上げる。ネオ・ジオンは小惑星5thルナを地球連邦政府があるチベットラサに衝突させようとする。かつてのシャアの宿敵・アムロ・レイらが所属する連邦軍の外郭部隊「ロンド・ベル」の奮闘も空しく、5thルナ落下を阻止することはかなわなかった。

ネオ・ジオンはアデナウアー・パラヤを始めとする地球政府高官と密かに裏取引を行い、スペースコロニー・ロンデニオンにて停戦交渉に合意する。停戦に安堵する地球連邦の思惑と裏腹に、シャアは取引によって得た小惑星アクシズを地球に衝突させるべく再び作戦を開始した。

合意が偽りである事を察していたロンド・ベルは核ミサイルを準備、やがてネオ・ジオンとロンド・ベルとの間で戦端が開かれる。アムロは自ら開発に加わった新型モビルスーツν(ニュー)ガンダムを駆り、アクシズを目指す。一方、アクシズを内部から爆破して軌道を逸らすロンド・ベルの作戦は成功するかに見えたが、アクシズの一部は既に地球の引力に捉われていた。巨大な岩塊が地球に落下しようとする中、アムロとシャアの最後の一騎打ちが始まる。

作品解説[]

本作の設定は『機動戦士ガンダム』から続いてきた宇宙世紀という歴史の延長線上にあり、一年戦争があった宇宙世紀0079年から14年後、宇宙世紀0093年の第二次ネオ・ジオン抗争[2]を描いている。一連のシリーズで因縁のライバル同士であったアムロとシャアの戦いにピリオドが打たれ、劇場版『機動戦士ガンダム』シリーズの事実上の完結編とされている。

キャラクターデザインと作画監督には『機動戦士ガンダムΖΖ』に引き続いて北爪宏幸を起用している。但し、アムロやシャアといった『ガンダムΖΖ』に未登場のキャラクターデザインをかつて務め、事実上一部のキャラクターの原案である安彦良和の名前はクレジットされていない。

機動戦士Ζガンダム』で可変機構が組み入れられ、『機動戦士ガンダムΖΖ』では巨大化・大出力化が進んできたモビルスーツであるが、本作品ではシンプルな人型の機体が中心となっている。サイコミュ回路を金属粒子に封じ込めて機体のフレームに使うサイコフレームが登場し、ファンネルが、初めて主役機のνガンダムにも装備された。

メカニックデザインは、主役のνガンダムについてはΖガンダムΖΖガンダムと同様にコンペ形式で多数のデザイナーが参加、その中で鈴木雅久らが中心になって数多くのラフデザインを提出し、最終的に出渕裕がまとめている[3]。ネオ・ジオン軍MSは出渕裕がデザインしている。その他、戦艦のデザインをガイナックスが担当している(ネオ・ジオン軍艦艇は庵野秀明、ロンド・ベル艦艇は増尾昭一[4]

スペースコロニーのサイド1・ロンデニオンとスウィートウォーターの描写など一部の映像で、当時としては珍しいCG技術も使われた[5]。CG制作は、トーヨーリンクスが担当している。

声の出演[]

キャラクターの詳細は個別記事および機動戦士ガンダム 逆襲のシャアの登場人物を参照。

  • アムロ・レイ古谷徹
  • シャア・アズナブル(声:池田秀一
  • ブライト・ノア(声:鈴置洋孝
  • ナナイ・ミゲル(声:榊原良子
  • ミライ・ヤシマ(ミライ・ノア)(声:白石冬美
  • クェス・パラヤ(クェス・エア)(声:川村万梨阿
  • チェーン・アギ(声:弥生みつき
  • ハサウェイ・ノア(声:佐々木望
  • ギュネイ・ガス(声:山寺宏一
  • レズン・シュナイダー(声:伊倉一恵
  • ケーラ・スゥ(声:安達忍
  • ララァ・スン(声:潘恵子
  • アデナウアー・パラヤ(声:嶋俊介
  • カムラン・ブルーム(声:村山明
  • チェーミン・ノア(声:荘真由美
  • オクトバー・サラン(声:牛山茂
  • アストナージ・メドッソ(声:広森信吾(現:拡森信吾))
  • カイザス・M・バイヤー(声:村松康雄
  • ホルスト・ハーネス(声:池田勝
  • メラン副艦長(声:石塚運昇
  • ライル艦長(声:曽我部和恭
  • トゥース(声:戸谷公次
  • アンナ(声:丸尾知子


登場機体[]

地球連邦軍
ネオ・ジオン軍

ハイ・ストリーマーにのみ登場する機体[]

地球連邦軍
エグム
  • カブール・ベルグソン2式 - ゼダ・マンディラが乗る黒いゲリラ戦用モビルスーツ。
  • ザクに酷似した機体 - 民間用のホビーのザクを改造したもの。

スタッフ[]

  • 企画:山浦栄二
  • 製作:伊藤昌典
  • 総監督・脚本:富野由悠季
  • 原案:矢立肇/原作:富野由悠季
  • キャラクターデザイン:北爪宏幸
  • モビルスーツデザイン:出渕裕
  • メカニカルデザイン:ガイナックス、佐山善則
  • デザイン協力:大畑晃一
  • 作画監督:稲野義信、北爪宏幸、山田きさらか、大森英敏小田川幹雄仙波隆綱
  • 作画監督補:恩田尚之、中沢数宣、重田亜津史、小林利充
  • 音楽:三枝成章
  • 撮影:古林一太、奥井敦
  • 美術:池田繁美
  • 編集:布施由美子
  • 演出補:川瀬敏文高松信司
  • プロデューサー:内田健二
  • 原画 :小林利充 梅津泰臣 吉田徹 所ともかず 上野けん 菅沼栄治 千明孝一 内田順久 大平晋也 川元利浩 木下ゆうき 北久保弘之 他 

主題歌[]

補足[]

  • 本作公開直前に、特別番組が放送された。この特番には、監督の富野由悠季の他、アムロ役の古谷徹、シャア役の池田秀一、クェス役の川村万梨阿に加え、シャアのファンである富田靖子が出演し、番組内で彼女が富野から本作でシャアが着用しているネオ・ジオンの制服をプレゼントされたことが、本作のパンフレットに写真入りで記事として記載された。また、富野は番組の最後で「この作品は35歳以上の方に、特に男性の方に見てもらいたい」と視聴者に向けたメッセージを送っていた。
  • 『逆襲のシャア』というタイトルは、1984年頃に『機動戦士ガンダム』の続編小説企画のタイトルとして一般に告知されたものであった。だが翌年に『機動戦士Ζガンダム』製作が決定した事で、同企画も番組の小説版として『機動戦士Ζガンダム』に改題されたという経緯がある。また、小説『ガイア・ギア』の連載前予告タイトルは『機動戦士ガイア・ギア 逆襲のシャア』であった(連載後は変更されている)。
  • 公開時のキャッチコピーは「宇宙世紀0093 君はいま、終局の涙を見る…」。
  • クライマックスで、地球に落下しようとしている小惑星アクシズ(詳細は「第二次ネオ・ジオン抗争#アクシズ落とし」を参照)をνガンダムを始めとするモビルスーツが下側から減速して押し返そうと試みる場面があるが、物理学的には有効な手段ではない。衛星軌道からの落下を防ごうとするならば、後方から斜め上に力を加えて宇宙速度以上に加速する必要がある[6]

関連作品[]

小説[]

総監督の富野由悠季による小説が、2作刊行されている。

ハイ・ストリーマー[]

アニメ雑誌『アニメージュ』(徳間書店)に『機動戦士ガンダム ハイ・ストリーマー』として連載されたもの。ただし、連載されたものは映画版の前日談となっており(アムロがスウィート・ウォーターに潜入調査をしているシーンやνガンダム設計会議、ブライトやシャアとの再会、チェーンとの出会い、クェスの地上での修行の描写などが描かれている)、フィフス・ルナでの戦闘からは文庫の書下ろしで、ほぼ劇場版に沿ったストーリーになっている(但し連載最終話のチャプターLは文庫の方で先に発表された)。精神崩壊したカミーユ・ビダンや戦死したハヤト・コバヤシにも触れられている。

表紙や挿絵を担当したのはSF漫画家の星野之宣。従来のデザインや劇場版と比べると、大胆な独自の解釈によるデザインとなっていた。

アニメージュ文庫で刊行される際に劇場版と同じく『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』という題名に変更された。

2002年10月より『機動戦士ガンダム ハイ・ストリーマー』に題名を戻され、徳間デュアル文庫から再版された。こちらの挿絵は久織ちまきだが、アニメージュ文庫版に収録された星野之宣によるイラストも巻末に再録されている。

また、2009年にはアニメージュ文庫版も再び刊行された。

アニメージュ文庫版(旧版)
富野由悠季(著)、徳間書店アニメージュ文庫〉、全3冊。
  • 『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア 前篇』、1987年12月発行、ISBN 4-19-669570-1
  • 『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア 中篇』、1988年2月発行、ISBN 4-19-669575-2
  • 『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア 後篇』、1988年3月発行、ISBN 4-19-669578-7
徳間デュアル文庫版
富野由悠季(著)、徳間書店〈徳間デュアル文庫〉、全3冊。
  • 『機動戦士ガンダム ハイ・ストリーマー 1 アムロ篇』、2002年10月発行、ISBN 978-4-19-905125-8
  • 『機動戦士ガンダム ハイ・ストリーマー 2 クェス編』、2002年11月発行、ISBN 978-4-19-905129-6
  • 『機動戦士ガンダム ハイ・ストリーマー 3 シャア編』、2002年12月発行、ISBN 978-4-19-905130-2
アニメージュ文庫版(復刻版)
富野由悠季(著)、徳間書店〈アニメージュ文庫〉、全3冊。
  • 『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア 前篇』復刻版、2009年7月発行、ISBN 978-4-19-908004-3
  • 『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア 中篇』復刻版、2009年7月発行、ISBN 978-4-19-908005-0
  • 『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア 後篇』復刻版、2009年7月発行、ISBN 978-4-19-908008-1

ベルトーチカ・チルドレン[]

当初書き上げた映画シナリオの第1稿は、内部での審査時に「アニメーション映画の主人公が妻子持ちになるのはどうか?」という批判を受けて改訂が行われた。本来は発表されない第1稿であるが、モチーフ小説『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア ベルトーチカ・チルドレン』として角川スニーカー文庫より刊行されている。本書の後書きには「ロボットアニメのストーリーの結末が、ロボットの否定であってはならない」というスポンサーからの抗議によって、結末のディテールが変更される等、映画化における顛末の一部が記述されている。本書においては、ストーリーの大筋は映画版の展開をなぞるものの、一部の設定や登場キャラクターの変更等、よりシナリオ第1稿に近い構成が採られている。特にテレビシリーズ『機動戦士Ζガンダム』の続編である事が、より明確に伝わる内容となっている。内容的にも、クェス・パラヤがハサウェイ本人の誤射により死亡するなど、ストーリーに重大な影響を及ぼす変更があり、後の小説『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』は、こちらの作品の歴史を引き継ぐものとなっている。

ベルトーチカ・チルドレンの口絵は出渕裕による描き下ろしだが、νガンダムのデザインにアレンジが施されており、後に「Hi-νガンダム」と呼ばれゲームに登場したり、模型化されるなど独自の人気を得た。またサザビーに代わるシャア専用MSナイチンゲールが登場し、こちらも人気を得ている。

なお角川書店が一時期展開した角川カセット文庫には本作のサウンドドラマ版がラインナップされた。ベルトーチカが登場するためクェスの声が川村万梨阿から荘真由美に変更されているなどキャスティングが一部変更されている他、音楽も増田俊郎の手によってこのカセット文庫版用に書き下ろされたものが使用されている。

富野由悠季(著)、角川書店角川文庫〉、全1冊。

  • 『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア ベルトーチカ・チルドレン』、1988年2月20日発行、ISBN 978-4-04-410109-1

漫画[]

2種類の漫画版がコミックボンボンに掲載されている。

村上としや
劇場公開後の1988年4月及び5月に前後編で掲載。単行本としては1999年に大都社が復刻版として発売した漫画版『機動戦士ガンダムΖΖ』の単行本2巻に併録されたのが唯一。映画とは異なりハサウェイは連邦のパイロット候補生として最初からラー・カイラムに乗艦しているためクェスとの関わりは全く無く、他にもリ・ガズィ、αアジールが登場しない等、ストーリーに幾つか差異が見られる。
ときた洸一
劇場公開から10年後の1998年10月から1999年2月まで全5話連載、1999年3月に単行本化。こちらの作品は映画とほぼ同様のストーリーとなっている。

ゲーム[]

スーパーロボット大戦シリーズ』を筆頭に本作が登場するゲーム作品は無数にあるため、ここでは本作を題材に単独商品化された作品のみ記述する。

機動戦士ガンダム 逆襲のシャア
1998年12月にバンダイより発売されたPS用ゲームソフト。背面視点の3Dシューティングゲーム。逆襲のシャアを中心に一年戦争でのアムロとシャアの対決を織り交ぜた内容。本作用に制作されたアニメーションパートも収録されている。なお、2001年7月に廉価版である「BANDAI THE BEST」が発売された。

派生作品[]

GUNDAM EVOLVE 5 RX-93 ν GUNDAM
短編映像作品『GUNDAM EVOLVE 5』では、CGとセル画を合わせる手法によりリデザインされたνガンダムα・アジールの戦いが、映画や小説とは違う展開で描かれている。本作は1から4までと合わせて『GUNDAM EVOLVE +』としてDVD化された。
ちなみにこの『EVOLVE5』は、複数製作された同シリーズにおいて、唯一ガンダムの生みの親である富野がストーリーを製作した作品である。劇場版や小説版の続編『閃光のハサウェイ』とは異なり、クェスとハサウェイの結末がポジティブな物へと転化されている。
テンプレート:Visible anchor
勁文社より1988年4月に発行されたゲームブック。スタジオ・ハード編集、草野直樹日高誠之構成・文。
原作の時代設定から3年前の宇宙世紀0090年が舞台。主人公であるシャア・アズナブルとなって、ジオン残党ダンジダン・ポジドン少将の協力の下、新生ネオ・ジオンの組織作りの経緯を描いた内容となっている。なお、ネェル・アーガマを率いるブライトやナナイ、ギュネイなど本作の人物も登場する。
機動戦士ガンダム 逆襲のシャア BEYOND THE TIME
角川書店の雑誌「ガンダムエース」2010年7月号より連載された漫画作品。久織ちまき画、本田雅也シナリオ。
原作の出来事をナナイ・ミゲル視点で描いた外伝作品。過去の回想を交えてナナイがネオ・ジオンに参加する経緯を描いた内容となっている。なお、本作は『機動戦士ガンダムUC』のアニメ化を記念して制作された。

脚注[]

  1. 月刊ascii2008年5月号
  2. 「第二次ネオ・ジオン戦争」「シャアの反乱」と表記している資料もある。
  3. ジェガンのみ佐山義則がクリンナップを担当している。
  4. ガイナックスは他のガンダムシリーズでは後に『機動戦士Vガンダム』『機動武闘伝Gガンダム』の作画、『劇場版Ζガンダム』の動画も担当している。
  5. このうちロンデニオンの映像はのちに『機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』のラストカットで登場するサイド6・リボーの映像としても流用された
  6. 『トンデモ本? 違う、SFだ! RETURNS』(山本弘)、P95

関連項目[]

  • ガンダムシリーズの登場人物一覧

外部リンク[]

テンプレート:富野由悠季

en:Mobile Suit Gundam: Char's Counterattack fi:Kidō senshi Gundam – gyakushū no Char fr:Mobile Suit Gundam : Char contre-attaque it:Mobile Suit Gundam: Il contrattacco di Char ko:기동전사 건담 역습의 샤아 nl:Mobile Suit Gundam: Char's Counterattack pt:Mobile Suit Gundam Chars CounterAttack th:โมบิลสูทกันดั้ม : ชาร์ เคาน์เตอร์ แอทแทค zh:機動戰士GUNDAM 逆襲的夏亞

Advertisement